松阪ハナショウブ
松阪花菖蒲の由来
松阪城下の武家屋敷(御城番屋敷と呼ばれ国の重要文化財として現存)近在に住んでいた徳川紀州藩士・吉井定五郎(1776〜1859年)によって松阪花菖蒲の品種「伊勢の浦」が最初に作出されました。その後1800年代に百予種の品種が作られ、明治・大正・昭和にわたって松阪近在の愛好家により育生保存されてきました。三重県は1952年に伊勢花菖蒲を天然記念物に指定し、さらに1970年には花菖蒲を「県花」に決定しました。現在 松阪三珍花保存会では、約50種類の松阪花菖蒲を「古花品種」として保存育生しています。「松阪花菖蒲」の名称については、一般的に「伊勢花菖蒲」と呼ばれることが多くその違いがよく議論されますが、植物学的には同じ園芸品種群に属するものです。松阪が発祥の園芸品種であることから、発祥地名を冠する「松阪花菖蒲」がより適切な名称であると私達は推奨しています。

松阪花菖蒲の特徴
(1)花は3英咲きで、花弁は縮緬状の薄弁で大きく発達し、互いに相重なって良く垂れる。
(2)内弁は立ち鉾となり、変化を添える。
(3)花芯の先端は鶏冠状の小片となり、縁辺が深く切れ込むものが多く、端正な花姿に優艶な趣を添える。
(4)花茎は太く短くて葉と殆ど同じ高さに伸び、開花時における花と葉の調和が良くとれている。
(5)葉は厚く広幅で剣状に直立し、葉面に数条の縦筋がある。
(6)花色は全般的に明るいものが多く、開花後時間の経過と共に花型・色彩が変化する。
(7)品種の多くは染色体数が24であるが、染色体数25の異数体の品種も報告されている。異数体のものだけを松阪花菖蒲とする説は、遺伝学的見地からも誤りである。
(8)長年にわたって株分けによる栄養繁殖が繰り返されてきたことから、全体的に草勢弱く繁殖力が低下しているものが多い。

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松阪花菖蒲の品種(写真と解説)
松阪花菖蒲の古花60品種と新花16品種を掲載しました。古花とは江戸時代後期から戦前(1940年以前)までに作出された品種であり、戦後から現在までに作出された伊勢系品種を新花としています。古花には、今まで三珍花保存会に登録されていた58品種に加えて、田中信一さんの記載による「明石 No.59」と「 藤代No.60」を追加しました。伊勢系の新花についてはここに掲載したもの以外にたくさんの品種が栽培・保存されていますので、今後このページに追加補充し掲載する予定です。
ここに掲載した写真の大半は2011年6月に栽培・展示された品種を神山康夫がデジカメ撮影したものですが、写真が撮れなかった品種については、三珍花保存会の旧会員である森 智子・田中信一・長谷川 満氏らのアルバムや写真データを使わせて頂きました。これらすべての写真について無断使用・転載を禁止します。
長年にわたって栽培されてきた品種では、品種の混同やラベル間違いなどがしばしば起き、異種同名や同名異種の品種が存在します。このような混乱を避けるためにも、ここに示す「写真と解説」を参照して、各自が栽培する品種の検定に役立つことを期待しています。
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松阪花菖蒲ゆかりの地
1922年(大正11年)から松阪花菖蒲の古花品種を引き継いで栽培されてきた松阪在住の青木清次郎氏は、昭和の戦中・戦後の食料事情の厳しい中でありながら自作畑でひたすら品種保存に情熱を注がれました。このことから松阪市は、1970年(昭和45年)に青木氏宅の松阪花菖蒲を市の天然記念物に指定して頌徳碑を建立しました。その碑文には青木氏の功績が記され讃えられています。写真右の石碑には、青木さんの句が記されています。
- 松阪の名残とどめよ花あやめ
左の石碑には「松阪菖蒲」と昔からの通称名が刻まれており、「菖蒲」と書いてアヤメと呼ばれていました。現代の植物学的分類では、菖蒲湯に使われるショウブ(サトイモ科)とハナショウブ・アヤメ(アヤメ科)とは別種の植物として分類されています。














